作品名:子椅子の聖母 製作年:1514年 サイズ:径71cm 技法 :油彩 板 所蔵 :フィレンツェ ビッティ美術館 |
絵の様式からみて、おそらくローマに移り住んでからの多忙な時期の作品。 トンド(円形画)のなかに愛らしい聖母子と聖ヨハネをうまくおさめ、甘美な雰囲気を漂わせている。色彩も∨字形のマリアの腕の赤を中心に、緑・青・黄色と鮮やかだ。 マリアのモデルは、ラファエロの伝説的な変人フォルナリーナだとする説もある。ラファエロの作品からはレオナルドのような神秘性も、ミケランジェロほどの厳しさも感じられない。あるのは甘美で心なごむ安心感である。これこそラファエロの聖母子像が、いつの時代も多くの人々を引きつけてやまない理由だろう。 |