光と影の探究者
レンブラントほど自画像を多く描いた画家は少ないのではないだろうか。 デッサンも含めれば相当の枚数になるはずだ。しかし、彼の作品を観ればその理由もうなずける。画家生活の生涯を通じ一貫してこだわってきたのが人物の表情と、それを強調する光と影だからである。 自身の内面にある複雑な思いをどのようにキャンバス上に表現するかを自画像を描くことによって学び取ることが自身にとって重要なことであり、それが作品の製作において欠かす事の出来ない中心的な要素になるからである。彼の作品には人物の表情から読み取るドラマがある、物語があるのだ。だからこそ鑑賞者を魅了するのである。 |
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自画像とその時代 | |
1629年の自画像 23歳 レンブラントはこの頃から自画像を描き始めた。 この年の4年前画家として独立 オランダ総督の秘書ハイヘンスの支援により最初の注文を受け成功を収める。 作品2点がイギリス王室に買い上げられる。 |
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1630年の自画像 24歳 父死亡 |
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1631年の自画像 25歳 アムステルダムに移住。 ニコラース・ルッツの肖像を描く。 肖像画家として評価が高まる。 1634年、サスキアと結婚。 |
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1639年の自画像 33歳 アムステルダムの中心街に邸宅を購入。 人生の絶頂期。 |
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1640年の自画像 34歳 母死亡 1641年 息子ティトゥスが洗礼を受ける。 1642年、「夜警」が完成 同年6月14日 サスキア死去 |
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1645年の自画像 39歳 版画の製作に夢中になる。 100ギルダー版画が人気を博しよく売れた。 1648年 独立戦争終結 オランダ独立。 1656年 自己破産 |
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1658年の自画像 52歳 自宅を競売に付される。それでも多額のの負債が残った。 ローゼンフラフトに移りユダヤの友人たちと隠遁生活を送る。 |
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1661年の自画像 55歳 布地組合の集団肖像画完成。 ホメロスの注文を受ける。 |
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1665年の自画像 59歳 息子ティトゥスが成人し相続を受ける。 |
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1668年の自画像 62歳 「笑う自画像」人生の栄光と苦難を経験し、すべてを悟ったかのような微笑みを浮かべる老年の姿。 |
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1669年の自画像 63歳 息子の妻の下で生活する。 制作中の「神殿のサムソン」は未完成のまま残る。 この年、10月4日 死去 |