今日では、ルソーはあらゆる素朴画家たちの中でも最も優れた画家であると考えられている。
斬新なモティーフと大胆な構図、そして独特な色使い。
こうした発想も日曜画家であったことが起因していることは誰の目にも明らかであるが、ルソー自身は正規の絵画教育を受けていないことにいささか劣等感を持っていたようだ。
当時、批評家たちの間でルソーの絵は笑いものの種であった。
一方で前衛画家やピカソからは高い評価を受け世評も両極端に分かれた。
しかし、この絵には異質な魅力がある。
この絵は、アンリ・ルソーの作品を賞賛していた画家のロベール・ドローネーの母親から依輪されたものである。
ドローネ一夫人はインドへ行ったことがあったので、エキゾティックな主題は彼女にふさわしいものであった。フランス絵画において、蛇使いの絵は数多くの先例があるが、ルソーの暗く不気味な人物像はまったく目新しいものである。 この絵に不思議な魅力を感じないものはいないであろう。
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