ピカソ20歳の時の作品。
ピカソの絵のなかにしばしば登場するアルルカン(道化師)を描いたもっとも初期の1点で、市松模様の衣装と飾り襟が特徴的。「青の時代」には、こうして1人あるいは2人でテーブルについている人々も頻繁に描かれている。表情は硬く、喜怒哀楽は白塗りの顔の奥底に隠されているにもかかわらず、うつむき加減の顔に添えられた手や、身をよじって横を向いているしぐさが物憂い雰囲気を伝える。しかし一方で、19世紀末フランスの装飾様式「アール・ヌーヴオー」から発想を得ているように思われる、頭上の大ぶりな花模様が、ピエロの装飾的な服とのあいだに見事な均衡を保って絵に華やかさを与えている。ここには、「青の時代」の思索的な人物表現に、華麗な装飾性という別の要素を加味した実験の跡がみられる。
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