この類例のない作品はホメロスの「イリアス」のエピソードにもとづくもので、ニンフであるテティアスが全能の神ユピテルに、トロイア戦争で息子のアキレウスに味方するように哀願している様子を描いている。 アングルがこの絵に一風変わった形と古代風の明快な輪郭を使用したのは情感の純粋さとエレガントな簡素さをもつ洗練されたフォルムを求めたためである。テティスの膨れた首と不自然に伸びきった腕は、従順な助成らしさの理想を現している。