作品名:世の栄光の終わり 製作年:1671年 サイズ:270x216cm 技法 :油彩 キャンバス 所蔵 :サンタ・カリダー施療院 |
ムリーリョと同世代の画家バルデス・レアールは、セピーリヤに生まれ、同地で修業後にスペイン南部コルドバで画業を始める。 1656年にセピーリヤに戻ったものの、すでにムリーリョが圧倒的人気を誇っていたため、有力なパトロンを確保できなかった。1670年頃、レアールはムリーリョとともに、カリダー施療院聖堂の大規模な装飾を委託される。そこでレアールが措いたのが、この『世の栄光の終わり』と『束の間の命』の対幅であり、これこそレアールの真骨頂を示すものだ。 『世の栄光の終わり』の画面下には、横たわった司教の遣骸にウジがわき、奥には骸骨が散乱した凄惨な光景が措かれている。半円形の上部から突き出た聖痕のあるキリストの手には天秤。右の皿には「信仰」を表わすキリストの心臓や聖書、左の皿には「7つの大罪」を象徴する動物たちが乗り、それぞれ「以下ではない」「以上ではない」と書かれている。天国に行くには信仰が絶対条件であり、地獄に堕ちるには罪以上は必要ないことを示しているのだ。 この世のはかなさを暗示する寓意画だが、主題より何よりもまず、あまりにむごたらしい光景に衝撃を受ける。ムリーリョの明に対してレアールは暗、陽に対して陰、美に対して醜といっていい。そのため民衆からは支持されず、貧困と病のうちに生涯を終えた。 |