メデイチ家も参加していた銀行家組合の仲介人グアスパッレ・ラーミがサンタ・マリア・ノヴェッラ教会内に建造した礼拝所の祭壇のために描かせた有名な祭壇画で、ボッティチェッリ自身も関係を持っていたロレンツオ・イル・マニフィコとその家族のメデイチ家に対して公的に捧げられた作品である。 古代の廃墟を場面として描かれたこの絵の題材は、年毎にマジ信者会と連れ立って、この神聖な出来事を追想しながら東洋の博士たち(マジ)のように町の通りを練り歩く習慣のあったメデイチ家にとって、馴染み深いものであった。 作品中には、その当時のフィレンツェ人ならばすぐに識別できた多くの著名人の肖像が描かれている。画面の右端からこちら側を見つめているボッティチェッリ自身の自画像はもとより、左端のジュリアーノ・デ・メディチと彼にもたれかかる詩人ポリツイアーノの肖像が際立っている。その横の人物は博識なピコ・デッラ・ミランドラである。中央の幼子イエスの足元に脆いているのは老コジモで、その前の赤マントをまとった後ろ向きの姿はロレンツオ・イル・マニフィコ(右側の短い黒衣裳をつけて立つ横向きの男)の父ピエロ・イル・ゴットーゾである。