ロシア・バレエの原作を手掛けるなど、多才な活躍で注目を浴びていた詩人ジャン・コクトー(1889〜1963)。 一般的には繊細な美男子というイメージをともなう彼だが、モディリアーニの目にはそうは映らなかったようだ。角張って描かれた顔や体は、自信に満ちているようでありながら、どことなく虚栄心が見え隠れしているようにも見える。コクトーは自分がこのように表現されたことに不満をもったらしいが、皮肉にも年齢を重ねるにつれ、この絵に似てきたといわれている。