作品名:エッフェル塔の新郎新婦 製作年:1939年 サイズ:150x136.5cm 技法 :油彩 キャンバス 所蔵 :パリ 国立近代美術館 |
一見すると、いつものシャガールらしい、穏やかな愛の光景である。だが、この作品が措かれたのは、ナチスによるユダヤ迫害が苛烈をきわていた時期であり、第2次大戦を翌年に控える不安の時代であったことを忘れてはならない。この絵には、パリの光景のみならず、ヴイテブニクの街並や、鶏やヴァイオリンなどのシャガールが愛するモティーフがすべて刻まれている。シャガールは、みずからに迫る危機に対して、芸術という「愛」の結晶をもって「抵抗」を試みたのである。 |