本名:ジョヴァンニ・アントニオ・カナル 祝祭の町としてのヴェネツィアの評判は,事実もっともなものだった。対をなす他の1点とこの作品とは,ヴェネツィアの最も壮観な見世物のうちのふたつを描いている。
この作品には,大運河で行われるレガッタの一環として開催されたゴンドラの競漕が描かれている。こうした催し物は14世紀以来カーニヴァルの祭典の一部として行われていたが,時には町を訪れる高名な賓客の歓迎イヴェントとして開かれることもあった。
画面の左端には「マッキナ」と呼ばれるきらびやかに装飾を施した仮設の建物があり,競争の勝者はこの下で優賞旗を授与され,人々に紹介された。この建物には1732年から1735年までヴェネツィア統領として統治にあたったカルロ・ルッジーニの紋章がついている。
観客たちは大運河の両岸に並んだ船を埋め尽くし,また掛け布で飾られた宮殿のバルコニーから競漕を見物している。
8人漕ぎの平底船はこの機会のために特別に飾りつけされ観客の何人か,とくに前景の人物たちは,三角帽子に白い仮面,黒のケープなど,カーニヴァル特有の衣装をまとっている。
この作品をエングレーヴイング版画に翻案したものが,1735年に出版されたカナレットの版画集『ヴェネツィアの大運河の景観』に収められている。
この構図は明らかに好評を博し,同様に完成度の高いヴァージョンがウォーボン・アベイのコレクションやロンドンのナショナル・ギャラリーにある。
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