ジャン=フランソワ・ミレー(フランス1814〜1875) 「落穂拾い」1857年 油彩 カンヴァス 83.5x111cm   パリ オルセー美術館

西洋絵画美術館 >> ロマン・写実主義 >> 落穂拾い                         Back        ミレーの複製画


1856年から57年にかけて、ミレーは貧窮のどん底にあり、一時は自殺も考えたという。そういう時期に描かれたのが、この作品である。落穂拾いとは、刈り取りの終わった畑に落ちている糧を一粒一粒拾っていく作業のことで、最も貧しい農民が行うつらい労働であり、それをとり上げたミレーの作品は、政治的プロパガンダの意味合いをもつのではないかと評されたのも無理はない。また、この人物は畑に立っている案山子だとまで酷評された。
ミレーは、自分は評論家ではないし、ただ自分が見た情景を率直に描いただけであると答えている。しかし、光と影によってみごとに綾取りされて彫刻のように浮かび上がる人物像と、≪仕事に出かける人≫や≪種蒔く人≫でも見られなかったコントラスト的効果をもつ背景の処理などに、ミレーの卓抜した技量が見てとれる。近景と遠景といった単純な対比だけを見ても、そのリアリティーのすばらしさには驚嘆させられる。まさに名画中の名画といえる。


落穂拾い ミレー