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ロシア絵画の解説と紹介をするインターネット美術館です。





ロシア絵画(トレチャコフ美術館所蔵作品)


 トレチャコフ美術館は、古今に渡るロシア美術のコレクションで知られ、西洋美術中心のエルミタージュ美術館と並ぶ存在です。収蔵作品は約10万点、見逃せないロシアの傑作が揃っています。

重厚な雰囲気の本館には主に古典から19世紀までの、近代的な建物の新館には20世紀以降の作品が収められています。展示の入れ替えや企画展も多いので、目的の作品が常に限られるとは限りませんが、ここでは19世紀の代表作品を紹介します。

忘れえぬ人

「忘れえぬ人」
イワン・クレムスコイ
1883年 油彩 キャンバス 75.5x99cm

この作品はロシアの「モナリザ」と言われるほどの傑作です。クレムスコイはこのモデルについて何も語っていません。
ですから、ダ・ビンチの「モナリザ」のように何やら謎めいた人物としてとらえてしまいます。
身なりや物腰、その態度からして上流階級の高貴な女性と思われますが、馬車の上から冷ややかに見下すような視線は近寄りがたく高慢な雰囲気を漂わせています。冬の背景を極端に薄く描き女性を際立たせることによって、ますますこの女性への好奇心が増幅されると同時にこの作品の
タイトル「忘れえぬ人」が何ともロマンティックな響きを持っています。


モスクワの中庭 ポレーノフ

「モスクワの中庭」
ワシリー・ポレーノフ
1878年 油彩 キャンバス 64.5x80.1cm
 ポレーノフの力作でロシアでは有名な作品。当時の日常を描いたものだが印象主義的な香りの漂う穏やかな作品です。後ろに見える教会はモスクワのほぼ中心であるアルバート通り付近です。
 
三人の勇士

「三人の勇士」
ヴィクトル・ミハイロヴィッチ・ヴァスネツオフ
1898年 油彩 キャンヴァス 295.3x446cm
描かれている3人の人物は、ロシアに伝わる英雄叙事詩、ブィリーナに登場する主人公です。秋空のもとに広がる平原の中で、勇士たちが馬にまたがっている。トウヒの木やハネガヤの草の他に、灰色をした岩などが描かれており、勇士たちの後方には、地平線まで続く暗色の丘陵が描かれている。ヴァスネツォフの説明によれば、勇士たちは旅の途中であり、広野を見回しながら、誰かが災難に遭遇していないか、どこかに敵が潜んでいないかなどを確認しているところだという。

画面中央の人物は、イリヤ・ムーロメツ。ムーロメツは、黒い毛色をした馬に乗っており、手をかざして遠方に視線を向けている。片方の手で槍を持っており、もう片方の手には、およそ 65キログラムほどの重さのある棍棒を提げている。

画面向かって左の人物は、ドブルィニャ・ニキーチチである。ニキーチチは、白い毛色をした馬に乗っており、銀色をした鎖帷子を着用している。金色をした鞘に収まった剣を、片方の手で抜き出しているところであり、もう片方の手で、宝石が用いられた盾を持っている。

画面向かって右の人物は、アリョーシャ・ポポーヴィチである。ポポーヴィチは、鍛えられた矢と、絹の弦が張られた弓を左手に持っており、グースリという楽器を右手に持っている。ポポーヴィチのまたがる馬は、金色の毛並みをもっており、草を食べている。
 

「トルコのスルタンへ手紙を書くザポロージェ・コサック」
イリヤ・レーピン
1880年 油彩 キャンヴァス 203x358cm

  ロシア・トルコ戦争で黒海沿岸部やクリミア半島を領土にしたロシア軍は戦闘部隊としてコサック兵を多用した。決して統率の取れた集団ではなかったがその戦いぶりは勇猛果敢であった。この作品のテーブルを囲むコサックの男達は勝利の美酒に酔い、戦いに敗れたトルコの王(スルタン)に対して手紙を書くため皆で寄ってたかって好き勝手にしゃべっている場面であろう。誰も文字が書けないため中央の羽ペンを持った男が代書している。
全体の構図とコサック兵の表情が素晴らしい。何とも生き生きと、そして躍動感のある作品です。
 

「医師によるキリスト」
ワシリー・ポレーノフ
1896年 油彩 カンヴァス 150x272.8cm 
 本作品に関する解説書がないため画面からの推測となるが、おそらく村の教会内部の様子であろう。左の一段高く見える老人がキリストの言葉を借り医師の役割を果たしている場面ではないだろうか
 キリストと姦淫の女

「キリストと姦淫の女」
ワシリー・ポレーノフ
1888年 油彩 キャンヴァス 325x611cm
ロシア美術館所蔵作品
 
 
ポレーノフ最大の大作。この作品には約7億1060万円の値が付いた。ポレーノフは聖書に基づきこの絵を描いたが、聖書に詳しくない者の目から見て作品の意図するところはよくわからない「キリストと姦淫の女」を是と考えるのか否と考えるのかいったいどうとらえたらよいのだろう。
そして、この絵は危うく海底に沈むところだった。というのはこの絵をタイタニック号に乗せてアメリカへ送る計画があったのだ。しかし、直前に予定が変更されたため、船と共に沈没するのを免れた。幸運であった。
この作品はロシア美術館にて所蔵されている。


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