西洋絵画美術館
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「牧草地の牛」

アルフレッド・シスレー  1874年 油彩 キャンバス  60x73cm
東京 富士美術館

Alfred Sisley

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シスレー 牧草地の牛
 
 
 ≪牧草地の牛,ルーヴシュンヌ≫で,シスレーは自分が気に入っている二つの構図上の工夫を用いている。つまり,大地と空とを平均に分かつ地平線と,曲線を描いて彼方へ伸びてゆく道の二つである。けれども,シスレーが道を絵のなかに入れるときには,たいてい奥行きのある構造がつくられるのだが,ここではそれがわざと避けられている。曲がった道が−いつもなら画面の下部から始まって,鑑賞者を画中に引き入れるのだが一画面の右側から始まり,また彼方に消えていくのではなく,再び右側で終わっている。この自由聞達な枠の感覚は,ドガやカイエポットのような印象主義のなかでも写実的な傾向の強い芸術家たちが好んで大胆に用いたものであって,この作品では,左側の背の高い木のてっぺんが切れているところにも指摘できるだろう。
 こうした形態的な工夫に加えて,シスレーは田舎の人物を措き入れることで,この場面が単なる田園風景ではなく,労働の場所でもあることを示している。草をはむ牛を見守っている田舎娘が,日中の陽射しを避けるわずかな影を求めて,木のかたわらに立っている。シスレーが1871年にコミューンの混乱から逃れて移り住んだルーヴシエンヌの村は,中景の松の木々の聞から遠望される。
 この絵は年記を欠いているが,ここに描かれた季節から判断して,おそくとも1874年の夏までに描かれたはずである。シスレーは1874−75年の冬にはルーヴシエンヌを発っている。そのために,第1回展に出品されるには完成が間に合わなかったが,展覧会に送った風景画,セーヌ川に沿ってパリから西を描いた作品群と同じグループに数えられるものである。ただし,この作品を第1回印象派展に出品されたものとする意見もあることを付記しておく。
 
 

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