世界芸術の総本山「ルーブル美術館」
1793年開業、所蔵美術品38万点が広大な館内に展示され年間の入場者数は1千万人をこえるという、まさに世界一の美術館。
西ヨーロッパの中心的都市パリのセーヌ川右岸にあるこの建物は12世紀にフィリップ2世が建設した城塞でした。もともとは街のはずれにあった「ルーブル」ですが街が拡大し、いつしか街の中心になってしまったのです。その間建物の増改築が進み、また1989年にはガラスのピラミッドがメインエントランスとなりひときわ目を引く施設となりました。
所蔵美術品は古代から19世紀初頭までの絵画、彫刻、工芸品や古代オリエント、古代エジプト、古代ギリシャなど歴史的文明に関する美術品など幅広い分野の作品が展示されています。
このサイトでは絵画部門を解説してまいりますが、絵画では最も有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの作品「モナ・リザ」を筆頭にドラクロワ、ダヴィッド、フェルメール、ラファエロ、コローなどの傑作を堪能することが出来ます。
「ルーブル」では作品は国、地域別に展示されており、17世紀フランドル絵画、16世紀オランダ絵画、15~16世紀ドイツ絵画、17世紀フランス絵画といった具合です。特にフランス絵画は質、量ともに充実しています。このサイトでの作品紹介はほんの一部ですがどうぞお楽しみください。
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展示室風景1
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ミロのヴィーナス
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ダヴィッド 「マラーの死」展示風景
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十一面千手千眼観世音菩薩像
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ドラクロワの展示室
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ラ・トゥール「いかさま師」
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ダヴィッド 「ナポレオン一世の戴冠式」
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ドラクロワ 「民衆を導く自由の女神」
作品 |
モナ・リザ |
作家 |
レオナルド・ダ・ヴィンチ |
製作年 |
1503年 |
サオズ |
77x53cm |
技法 |
油彩 板 |
人はなぜ、この女性像に惹かれるのだろう。感情の見えない不思議な微笑。肖像画でありながら、背景は屋外である。「スフマート(ぽかし技法)」と呼ばれる、筆のタッチや韓郭線を残さない表現は、丸みを帯びた女性の身体をより美しく見せている。また、近くを明確に描き、遠くを不明瞭に描く「空気遠近法」が用いられている。別名「ラ・ジョコンダ」と呼ばれる本作のモデルは、当時のフィレンツェの豪商であったフランチェスコ・デル・ジョコンドの2人目の妻リーザ・ゲラルディーニであるとされている。
作品 |
民衆を導く自由の女神 |
作家 |
ウジェーヌ・ドラクロワ |
製作年 |
1830年 |
サイズ |
260x325cm |
技法 |
油彩 カンヴァス |
フリギア帽をかぶり、左手に銃剣、右手に三色旗を掲げた「自由の女神」。これはフランス共和国を象徴する女性像マリアンヌの姿である。
武装した民衆が大挙してそのあとへ続いていく。同胞の屍を踏み越えながら1830年に起きた、フランスの七月革命をモチーフに描かれた作品。戦禍の凄まじさとともに、そこに息づく人々の生命力、そして自由を象徴する女神の輝かしさをも強く伝えている。
本作は、サロンで大人気を博したにもかかわらず、既存価値を破壊する風刺とみなされ、25年間一般公開されていなかったというから意外である。現在、フランス国民にもっとも広く愛されている作品の1つである。
作品 |
ポンパドゥール夫人 |
作家 |
モーリス・ド・ラ・トゥール |
製作年 |
1755年 |
サイズ |
177x130cm |
技法 |
油彩 カンヴァス |
ルイ15世に寵愛されたポンパドゥール夫人は、デッサンや音楽をたしなむ才色兼備の女性で、社会的・政治的な影響力をもっていた。ロココ時代を代表する肖像画家のラ・トウールは、この夫人の社会的地位や志向を、見事なパステル画で表現している。
机の上にある、モンテスキュー著『法の精神』などの書物、地球儀、著名人りの版画、また手元の楽譜、足元のカルトンなどは、どれも夫人の高い教養と文化的貢献を示すものである。
作品 |
アルプス越えのナポレオン |
作家 |
ポール・ドラローシュ |
製作年 |
1850年 |
サイズ |
289x222cm |
技法 |
油彩 カンヴァス |
アルプスを越えるナポレオンといえば、馬に乗って右手を掲げたポーズのダヴイッドの作品が非常に有名である。このダヴイッドの絵が、ナポレオンの注文に沿って凄々しく理想的な英雄の姿に描かれたのに比べ、ドラローシュの絵は、事実に忠実に描かれているといえる。
ここでのナポレオンは先導のガイドに付き添われ、馬ではなくラバに乗っている。雪の峠道を越えるには、馬よりも強いラバに乗り換えたほうがよかったのである。
作品 |
カナの婚宴 |
作家 |
ベロネーゼ |
製作年 |
1562年 |
サイズ |
677x994cm |
技法 |
油彩 カンヴァス |
カナという町の婚宴に参加したキリストが水を葡萄酒に変えたという聖書の挿話を、ヴェロネーゼはヴェネツィア風の大饗宴に置き替えた。サン・ジョルジョ・マッジョーレ修道院の食堂を飾るために描かれた、ルーヴル最大の絵画作品である。中央に座しているのはキリストと聖母マリア。周囲には130人もの招待客が、聖書の登場人物や古今東西の偉人の姿で描かれている。その衣装の鮮やかな色彩は、巨大な画面を明瞭に見せる役割を果たしている。なお、画面前景中央の楽士は、左の白い服の人物がヴェロネーゼ自身、の右隣の緑の服の人物がティントレット、テーブルの右側の赤い服の人物がティツィアーノを描いたものである。
作品 |
女占い師 |
作家 |
カラヴァッジョ |
製作年 |
1595年 |
サイズ |
99x131cm |
技法 |
油彩 カンヴァス |
イタリアバロック絵画の巨匠カラヴァッジョが20代前半のころに描いた作品。若い男性が右手の手袋をはずし、ジプシーの娘に手相を見てもらっている。その手から指輪が抜き取られようとしているが、若者は娘の微笑に気を取られて気づかない。運命を知ろうとする人間の愚かさを皮肉った寓意的作品だ。明解な構図と簡潔な背景、写実的な描写に、すでに巨匠カラヴァッジョの片鱗が見える。都会的なテーマも画期的であった。
作品 |
若い婦人に贈り物を届けるヴィーナスと三美神 |
作家 |
ボッティチェッリ |
製作年 |
1483年 |
サイズ |
211x283cm |
技法 |
フレスコ 壁画 |
フィレンツエ近郊の名家の大邸宅にあった3連のフレスコ画の一部。1873年まで壁の漆喰の下にあったため、損傷が激しい。
名家の娘の結婚を祝して描かれた作品だ。右側の暗赤色のドレスの女性が花嫁で、ヴィーナスから贈り物を受け取ろうと布を差し出している。ヴィーナスの周囲には、対照的に華やかなドレスをまとった三美神。
当時流行の新プラトン主義を反映して、花嫁が理想美の世界(イデア)に誘われることを暗示している。
作品 |
サン・ロマーノの戦い |
作家 |
ヴェッチェロ |
製作年 |
1435年 |
サイズ |
182x317cm |
技法 |
テンペラ 板 |
1432年のサン・ロマーノにおけるフィレンツ工軍とシ工ナ軍の戦いを描いた3連作の2番目にあたる作品。
フィレンツェ軍のミケレット・ダ・コテイニョーラが黒馬に乗って反撃する場面だ。右側の戦士たちは襲撃の合図を待ち構えて槍を立てているが、左側では槍を下げて攻撃態勢を取っている。1つの画面に時系列の異なる場面を描き込むことで、物語の流れを伝えているのだ。角度の異なる槍と馬の脚が、画面にリズム感を与えている。