ヤコブ・ピサロ (フランス1830〜1903) 「ヴォワザン集落の入り口」 1872年 油彩 カンヴァス 46x55.5cm パリ オルセー美術館

西洋絵画美術館>>印象主義>>ヴォワザン集落の入り口                        ピサロの複製画


 ピサロはロンドン滞在中に重要な作品を何点か描いているとはいえ、彼と妻ジュリーにとってそこは幸せな場所ではなかった。彼は友人の美術批評家テオドール・デュレに書いている。「できるだけ早くフランスに戻りたい。そう、親愛なるデュレよ、ここにはいたくないのだ。国の外にあって人は初めて、フランスがいかに美しいか、いかに偉大か、いかに有難いかに気づくのだ」。


 ピサロは1871年6月にルヴシエンヌに着き、1872年4月まで滞在した。それからボントワーズに戻り、その後10年間、同地にとどまることになる。自宅が修理を要する状態になっていたとはいえ、彼はフランスの土地に戻れたことを大いに喜び、1872年の初めには自信がふつふつと湧いてきた。彼は膨大な量の絵を制作し、変化に富むさまざまな新しいモティーフを扱ったが、なかでも重要なのは、時には障害ともなった、旧世代の画家たちとの結びつきから自分自身を解放することができたことであった。
 この絵でピサロは、陽光がさんさんと注ぐ穏やかな初春の日を描いている。木の葉はまだ芽を出していない。太陽は依然として低い位置にあり、そのため高くほっそりとした樹幹が通いっばいに長い影を落としている。≪ルヴシュンヌの道≫と同様、塀や建物が両側に並ぶ通が構図の中心を占めている。しかしここでは、道を見上げるというよりも見下ろしている感じである。ピサロは、地平線の位置を下げ、前景の樟休の高さを強調することで、この眺めの感じを実現している。


この作品はギャラリーアオキで購入できます。                      戻る