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有名西洋絵画の解説と紹介をするインターネット美術館です。ジオット

作品解説「死せるキリストへの哀悼」

ジョット(アニョロ・ディ・ボンドーネ)1267〜1337

作品名:死せるキリストへの哀悼
製作年:1305年
サイズ:200x185cm
技法 :フレスコ 壁画
所蔵 :イタリア スクロヴェーニ礼拝堂
1304〜05年 フレスコ 200×185cmパドヴア(イタリア)、スクロヴェーニ礼拝堂ジョットの『キリスト伝』のなかで、おそらくもっとも有名な場面。
十字架から降ろされたキリストを囲んで、聖母マリアや福音書記者ヨハネらがその死を嘆き悲しんでいる。
死を表わす枯れ木の根元から聖母マリアとキリストに向けて、岩山の稜線を横切らせる空間構成、動きと立体感のある人物描写、悲痛な表情をとらえた感情表現が演出されている。
ジョットは聖書の物語をはじめて迫真的な人間ドラマに仕立てあげた。

右上に死を象徴する1本の枯れ木が生え、その根元から岩山の稜線か左下のキリストと聖母マリアに向かう。画面下半分では、十字架から降ろされたキリストを囲み、家族や弟子たちがその死を悼んでいる。
うっすらと目と口を開けた蒼白のキリストの顔を抱き寄せ、悲嘆にくれるのか聖母マリア。これほど悲痛な表情は、美術史上これがはじめてではないだろうか。
両足を膝にのせているのかマグダラのマリア。福音書記者ヨハネは両手を大きく広げて嘆き、それに呼応するかのように左側の女性も両手を広げてい
る。空では10人の天使がさまざまなポーズで悲しみを表わしている。