オーギュスト・ルノワール (フランス1841〜1919) 「ルグラン嬢」 1875年 油彩 カンヴァス 81.3x59.1cm フィラデルフィア美術館

西洋絵画美術館>>印象主義>>ルグラン嬢                          ルノワールの複製画


ルノワール ルグラン嬢



 ルノワールは優れた肖像画を数多く残しているが、とりわけあどけない表情の子どもたちをモデルにしたものには傑作が多い。
 もともと彼が措く人物は、大人の場合でも男女を問わず、柔らかな顔の輪郭線、優しげな眼差し、かすかな微笑みを湛えた口もと、そしてばら色に輝く頼、といった共通する特徴を備えており、見るものに若々しく暖かな印象を与えてくれる。そのような作風が肖像画家としての彼の人気を一層高めたことは疑いないが、その特徴は子どもたちをモデルにした時、ますます磨きがかけられた。生き生きとした表情の中に無邪気さと純粋さを秘めた子どもたちの肖像は、まさに「天使のような」と形容したくなるような魅力に満ちあふれている。
 純白のブラウスに黒のエプロンドレスという清楚な服装に身を包むこの少女はマリー=アデルフィーヌ・ルグラン。
 1867年生まれの彼女は、この絵のモデルになった時、まだ8歳に過ぎない。だが白と黒を基調とする服装や両手を組んで立つそのポーズ、さらには簡潔な背景と構図などが組み合わされることにより、少女の姿は実際以上に大人びた気品のあるものに描かれている。
 ルノワールは8歳の少女が自然に放つ愛らしさよりもむしろ、早くも彼女の中に芽生え始めている女性としての美しさに目を向けているようにすら見える。そしてその美しさを捉える画家の絵画技術は驚くばかりに冴えわたっている。背景はいうにおよばず、黒いエプロンドレスも白のブラウスも、さらには頭のリボンや首に巻いた青いスカーフも、みな実に簡略な、何のためらいも感じさせない素早い筆致で措かれているが、そのフォルムの的確さは間然するところがない。
 さらには軽やかになびく髪や、ほんの僅かなハイライトによって輝きを放つ指輪やイヤリング、そして瞳の表現など、まさに名人芸と呼びたくなるような高度な技術が惜しげもなく披露されている。

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