ヤコブ・ピサロ (フランス1830〜1903) 「パリのテアトル・フランセ広場、雨」 1898年 油彩 カンヴァス 73.6x91.4cm ワシントン ナショナルギャラリー

西洋絵画美術館>>印象主義>>パリのテアトル・フランセ広場、雨                               ピサロの複製画


 1897年の終わり頃、ピサロはパレ・ロワイヤル広場に面したグラン・ドテル・デユ・ルーヴルに一部屋借りた。部屋の窓からはサン・トノレ街、オペラ座通り、テアトル・フランセ広場が見下ろせた。この眺めについてピサロはリュシアンにこう書いている。「描くのにはとても美しい!美的ではないかもしれないが、こうしたパリの街頭が描けるのを喜んでいる。これらの通りを人々は醜いと言いだすようになったが、とても銀色に輝き、光と活気にあふれている。ブールヴアールとはまったく違っていて、こちらは完全にモダンだ」。

ピサロ パリのテアトル・フランセ広場、雨

 彼は1897年も押し詰まってからこの連作に着手し、翌年の呑まで続けた。この絵では、テアトル・フランセ広場が見下ろされている。情景は≪パリのイタリア人大通り、朝、陽光》のそれとよく似ている。あちこちに人物がいる大きな通りで、ただし今回は雨から身を守ろうと人々が傘をさして立っている。しかし、絵の効果は違っている。
 ピサロは、雑務する通りを描き出すことよりも、静的な空間の感じを出すことに専念している。人物や馬車はどれも思いつきで配されているのではなく、入念な計算のもとに配置されて、左上隅のオペラ座へ向かう二つのきちんとした列をつくっている。右側の建物にも修正が加えられている。軒蛇腹や建築細部がつくる線は綿密に構成され、その結果それらの線は一つの建物から隣の建物へと自然に通じているように見える。一番手前の建物の欄干は、その後ろの建物の上階の窓と巧みにつながっているのである。初期の絵に見られるように、ピサロはここでも、静的空間の効果を誇張するために厳密な水平線と垂直線を用いて
いる。


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