レオナルド・ダ・ヴィンチ (イタリア 1452〜1519)「受胎告知」1480年頃 テンペラ 板 98x217cm フィレンツエ ウフィッツイ美術館.

西洋画美術館>>ルネサンス>>受胎告知


20003月に終了した修復の結果、明るい色調と細部の明白さが復元されただけでなく、右側の建物の短縮法がはっきりとしたことによって(側柱のある扉部分が鮮明になり、室内の天蓋がよく見えるようになった)、明解な遠近感が取り戻された。オリヴェートのサン・バルトロメオ教会のために、フィレンツェで製作された作品であることは確かであるが、製作年に関してはまだ議論中で、レオナルドが20歳を越えたばかりの1470年代初頭とする説から、すでに画家として独立していたその10年後とする説まで、様々な仮説がたてられている。作品中のいくつかの詳細部分において、レオナルドの師匠だったヴェロッキオの強い影響、あるいは師匠に敬意を表したと考えられる部分が見られる(特に、書見台が置かれている小机の装飾はヴェロッキオが制作したサン・ロレンツオ教会のメデイチ家のジョヴァンニとピエロの墓碑のレリーフ模様にそっくりである)。

書見台の本に伸ばされている聖母の右腕が異様に長くなっている。さらに、レオナルドは受胎告知のエピソードを描くにあたり、おそらく象徴的に、場面展開の時刻を夜明け頃に設定したことが修復によって明らかになったが、夜明けにしては天使の影が漉すぎる。こういった欠点が指摘されるものの、摩れた自然観察によって描写された草地の草花が素晴らしい。さらに、トスカーナ地方独特の糸杉が見える中景が奥の方に向かってずっと広がりを見せ、詳細にわたって細かく描き込まれた湖畔の町並みが遠方の青味がかった岩山にいたるまで徐々にぼかされていってる様子など、風景の表現もきわめて美しい

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