フラ・アンジェリコ (イタリア 1400〜1455) 「受胎告知」 1440年 フレスコ 壁画 230x321cm フィレンツエ サン・マルコ美術館

西洋画美術館>>ルネサンス>>受胎告知


現在ではフラ・アンジェリコの美術館として知られているサン・マルコ修道院。『受胎告知』は2階の僧房の壁面に描かれている。両手を前で交差させた大天使ガブリエルと聖母マリアの敬虞なポーズ、簡素な建物、戸外の可憐な花々。澄みきった静謡な画面に目が洗われる。

 フラ・アンジェリコは、フィレンツェに近いムジュッロ地方ヴイッキオに生まれ、フィレンツェ郊外フィエーゾレでドメニコ会修道院に入り、画僧となった。本名はグイド・デイ・ビュトロだが、彼が措いた天使や聖母マリアの清楚で可憐な風情と修道士としての謙虚で清廉な生き方から、のちにフラ・アンジェリコ(天使のような僧侶)と呼ばれるようになった。

ルネサンスの美術家たちの列伝を著わした画家・建築家・著述家のヴァザーリ(151174)によると、教皇から大司教の座を勧められても他人に譲り、筆を執る前には祈りを捧げ、キリストの受難を措くときには涙を流していたという。さらに絵は一気に仕上げ、その後は筆を入れなかった。「それが、神のおぼしめしだから」と語ったといわれる。フラ・アンジェリコにとって絵を措くことは神の世界に近づく行為であり、日々の祈りそのものだっ
た。

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