『いかさま師』とシリーズ作品のように見える。
なぜなら、どちらも、うぶで純情な青年がだまされる場面であり、作品サイズもほぼ同じである。
当時、こうして騙す人、騙される人が多かったのであろうが、いつの世も形は変わるが騙す人、騙される人の多さには、人間の普遍性を感じる。
こうした人間の欲や、それにつけ込む心理を描こうとするカラヴァジョの野心的発想は当時、斬新であったはずだ。
この作品では女占い師が若い男の手のひらをなぞり視線で相手の気を引きながら指輪を抜き取ろうとしている場面だ。伊達男のように気取っていても人生経験の少ないうぶな若者は既にうっとりとしている。
この作品もまた、ラ・トゥール『女占い師』によって継承されている。
しかし、いつも素晴らしいのは、カラヴァジョの短気で喧嘩っ早い性格からは想像できないほど緻密に、そして丹念に細部までも描き込まれているという事だ。一流画家といわれるのは当然であろう。
この作品はギャラリーアオキで購入できます。
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