ティツイアーノ(イタリア 1490〜1576) 「フローラ」 1522年頃 油彩 板 79x63cm フィレンツエ ウフィツイ美術館
西洋画美術館⇒ルネサンス>>フローラ
フローラは古代神話に登場する花の女神だが、これを神話画と見なすわけにはいかない。なぜなら世紀のヴェネツィアでフローラといえば、当時数多く存在した高級娼婦のポピュラーな源氏名でもあったからだ。貴族や裕福な商人を相手にする彼女たちは、高価な衣装をはだけて胸をあらわに措かれることが多く、この作品もそうした肖像画のひとつと考えられる。フローラはいわば、官能と享楽の都市ヴェネツィアの女神でもあったのだ。